プレス抽出をおすすめする理由

①抽出方法の色々

コーヒーには様々な抽出方法があります。日本で主流なのはペーパーフィルターを使用したドリップでしょうか。あるいは、本格的な喫茶店などはネルを使ったドリップをされているところもあります。

抽出には様々な考え、理論、結果としての味わいの特徴がありどれが一番ということはないと思います。色々お試しいただいて、ご自身で良いと思うものをお選びいただければ良いと思います。

私のお店のテイスティング スペース(現在テイスティングはお休み中です。)ではbodum社製カフェプレス(フレンチプレス)で抽出しています。

ただし、フレンチプレスの場合、使用する素材の品質が素晴らしいものであることが前提になります。

プレスの場合はより素材を選ばなければなりません。品質の善し悪しをはっきりと出してしまう抽出器具だからです。

金属フィルターを使用し、コーヒーからより自然に溶出する液体を作るこの方法は、他の方法と比較してスペシャルティコーヒーの持つ、ユニークなフレーバーを楽しむことに向いています。

逆に言えば、素晴らしい品質のコーヒーさえ入手できれば、ぶれる要素がより少なく、最も簡単に、どなたでも安定した抽出が可能です。

今後もっと良いものが発明されたら、乗り換える可能性もありますが、基本的な考え方として、どのような抽出方法でありましても「より簡単に、よりおいしいコーヒーができれば良い」と思っています。

抽出方法そのものにこだわりは全くありません。

日本ではまだ一般的ではありませんが、金属フィルター+バキュームを利用したクローバーという機械もあります。

2014年に日本に上陸したスチームパンクというサイフォンとプレスを掛け合わせたようなマシンも発明されました。

bodum社の製品はプレスの先行開発メーカーらしく、金属フィルターメッシュの粗さの巧みさ、メッキパーツなどの品質が高いと思います。リプレイスパーツの供給がしっかりしていることも使わせていただいている理由の一つです。

シカゴ インテリジェンシアでのクローバーによる抽出

また、やはり北欧のメーカーなのですが、エバソロという抽出器具もありまこれも金属メッシュを使用するところは一緒なのですが、プランジャーを押し下げるという動作がありません。プレスより若干ですがさらに軽めに入る傾向があります。

同じメーカーでティーメーカーという紅茶用の器具もあるのですがこれも優れものです。北欧は寒い場所のなので、お茶の文化が発達している感じがいたします。これらの製品はデザインが優れているだけでなく、機能面と両立しているところが他にはあまりない特長だと思います。

セーターを着せたようなユニークなデザインのエバソロ(左がコーヒー用、右が紅茶用)

 

②最初の印象/プレス未体験の方へ

さて、フレンチプレスで抽出したコーヒーの味わいは、特にドリップで濃いめにいれたものになれている方は「うすい」「もの足りない」「パンチがない」とお感じになる方が多いのではないでしょうか。実は何をかくそう私も最初にプレスのコーヒーを飲んだときには「うすいなあ」と感じました。

そのように感じるのには理由があります。少し難しくいいますとドリップは「透過式」、プレスは「浸漬式」といいます。お湯をコーヒーの粉にくぐらせ(透過させ)るか、つけ込む(浸漬させる)かの違いです。詳細は長くなりますので省略しますが、この違いが出来上がった液体の濃度感をつくっていると考えられます。

濃い、薄いはどちらかが絶対的に良い悪いではないと思います。

人によっては微粉が若干カップに入るために濁った液体になります。が、この微粉は舌で感知できる粒子の大きさではなく、舌触りに影響を与えることはありません

これよりも明らかに大きな粉は最初、少し液体を捨てることで、カップに入ることを最小限に防げるでしょう。

かくいう私もかつてはペーパー、ネルドリップ派だったのですが、スペシャルティ コーヒーに出会い、自宅で何度かプレスで飲んでいるうちにはまっていったのです。

また、スペシャルティ コーヒー+プレスの場合、かなり高い温度、極端にいえば沸騰したてのお湯を使って抽出しますので、かなり熱い温度でのご提供になります。従いまして、香りの成分は熱いうちの方が分かりやすいのですが、味に関しては少し冷めた状態の方がより分かる可能性があります。(あまり熱いと感じにくいです。)

沸騰したての湯を使用するのは「スペシャルティ コーヒー」というグレードのコーヒーを使用することが前提です。

 

③味わいの特長、特徴

プレスを選んだ理由の一つとして、我々が味覚チェックをする際に行うカッピング(カップテスト/テイスティング)プロトコール(やり方、条件)に一番近い方法ということがあります。

これはコーヒーの生産地でも消費国におけるコーヒー会社、中小ロースターなど世界共通の方法で品質チェックのために行われているものです。

カッピングはとてもシンプルな方法です。まずドライ(粉)の状態の評価を行い、次にカップの中に粗挽きにひいたコーヒーの粉を入れ、沸騰したての熱湯を注ぐだけです。ここから先はスプーンを使って決められた方法でコーヒーの液体を評価していくのですが、ここでは省略します。

温度変化による味覚の変化もポイントの一つです。コーヒーの粉を熱湯にどぶ浸けすることによって、長所、欠点を丸裸にするのです。(スペシャルティコーヒーは欠点ゼロが前提ですので、すばらしい印象度を探す長所評価になります。)

より簡単にスペシャルティコーヒーの液体に含まれる色々な香りの成分、特長、良さを存分に味わっていただきたい。そのことから、プレスを選択したということです。

スペシャルティコーヒーをフレンチプレスでいれた舌の上の感覚は、おいしいお茶、紅茶などを飲んでいる感覚により近いかもしれません。

プレスは液体の濃度や味のパンチ(強弱)を味わうのはあまり得意ではありません。

あとはフィルターが金属(ステンレスメッシュ)でできているのがポイントです。金属フィルターは紙やネルと比べ目が粗く、抽出成分を吸い取りません。コーヒーの微粉がカップに入り、そのためコーヒーの液体は濁ります。飲んだ後のカップの底には微粉が残るでしょう。

しかし、これらが味そのものに悪い影響を与えることはありません。(ざらつきますので、底までは飲まない方が良いかと思います。)

プレスで抽出したコーヒーはカップの液面に「コーヒーオイル」が浮きます。このコーヒーオイルにこそ、コーヒーの芳香成分が含まれているのですが、これをカップに落とすためには金属フィルターが物理的に良いという訳です。

 

④注意点とコツ

プレス抽出を行うにあたりいくつかのコツ、注意点があるのですが、ざっと紹介しますと、

①出来る限り高い温度の湯を使用する。(直接そそぐ器具ポット、やかんなどに入った状態で、95℃前後のお湯が良いでしょう。これで、香りが飛ぶようなことがあれば、少しづつ温度を下げてみてください。)

②過度(行き過ぎた)の抽出に注意する。(出来る限り、1点に湯をかけないようにする。
静かに、静かにゆっくりまんべんなく回しがけをしたり、コーヒーに直接湯をかけずに
プレスの壁づたいに湯を注ぐのも一つの方法です。出来上がったコーヒーはなるべく早くカップまたはポットなど別の容器に移した方がよいです。)

③品質の高いコーヒーを使用する。(金属フィルターは、コーヒーの品質の善し悪しをあからさまにしてしまいます。)

④②に関連しますが、プレスの中で長い時間滞留させない。(3分〜4分の抽出時間後は
なるべく早く、カップ、ポットなどに移してください。)

⑤新しい豆の場合はふくらみが大きいので、この膨らんだ部分の空気を抜いてください。
そして、液面が下がった場合は湯を注ぎ足してください。(かき混ぜたりしないで、コンコンと
机の上などで軽く叩くとよいでしょう。)

特に③ですが、プレスという抽出器具であれば何でもおいしくなる訳ではありません。コーヒーの良い部分も悪い部分(スペシャルティコーヒーには悪い部分はないことが前提です)もコーヒーオイルに含まれているということがヒントです。

プレスは高品質なコーヒーをお使いいただくことが前提の器具です。ご注意ください。

文章にするとちょっと大仰ですが、一度コツをつかんでしまえば簡単にどなたでもおいしくいれられます。

さあ、それでは実際にやってみましょう!

 

 ⑤使用方法の動画へ

以下の動画はフレンチプレスの抽出方法の一例をまとめたものです。抽出方法の詳細部分は人によって多少差異がありますので、絶対的なものではなくご参考程度としてください。

「ここをこうやったら、もっとよくなった」と色々とお試しになるのも面白いと思います。

しかしながら、素材の善し悪しは選ぶものの、プレスの基本的なメリットは「誰でも」、「簡単に」、「味にブレが少なく」、「フレーバー豊かで」おいしいコーヒーを入れられることです。

 
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