昨年末のお客様
昨年末に東京よりT山さんに遊びに来ていただきました。
T山さんは芸文社という出版社である自動車雑誌の編集員をされています。
昔はある自動車メーカーのPR誌やカタログなどを手がける会社におられまして、私も色々とお世話になりました次第です。
そのTさんが何か悩みごとがおありのようでした。「スバル1300G」という昔のクルマの出物があるのですが、買っていいものかどうか。どこかにレストアのスペシャリストの方をご存知ないかとのこと。
スバル1000シリーズは(当時先進のFF駆動システム、インボードディスクブレーキ、4輪独立懸架、フロントダブルウィッシュボーンサスなどなど)今見ても「面白い」技術がてんこ盛りの40年くらい昔のクルマです。
事実、スバル1000はシトロエンGS、アルファスッドの手本になったと言われています。
この頃の国産車はメーカーに関わらず、当時日本の高度成長を担っているといいますか、欧米の自動車産業に追いつかねばならないという迫力、情熱のようなものが込められていたように思います。現代でも理論として解明されていない技術はたくさんあると思いますが、くらべものにならないほど暗中模索の中での開発だったと思います。
確かに、迫力や情熱など現代のクルマ作りからはかけ離れた、一見非効率的あるいはアナクロ的なものに聞こえるかもしれません。が、果たして効率やスペック、理論といったものだけで人の心を動かすことが出来るかどうか。
果たして、ユーザーの心を動かすことができなければ、結局のところ購入していただくことができない訳です。
スペックだけみれば当然あらゆる性能において、現代の自動車と全く比較にもならないのですが、モノとしての魅力としては、それなりに衰えない力があるのはそんなことが理由になっているのかもしれません。
自動車のレストアの業界でも、「きちんとした良い仕事をするところには、逆にお客様が集まっている」そうです。景気が悪くなるとユーザーの選択眼も、より一層厳しくなるということでしょうか。こういうときだからこそ、がんばって良い仕事をしなければなりませんね。
そのうち芸文社さんから開業顛末記を出版します!??(ジョークです)